平成25年からサラリーマンの経費が計上が緩和されます。(特定支出控除)

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平成24年度税制改正に伴い「特定支出控除制度」が改正され、平成25年分以後の所得税から適用されます。
 

1.給与所得控除の概算(平成25年分以降)

 
サラリーマンである給与所得者には自営業者のように収入から経費を差引くことができない代わりに給与所得控除というものがあります。
これは、サラリーマンの給与収入に応じて一定の率で経費を一律で控除しているという考え方です。

給与等の収入金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%
(最低65万円)
360万円以下 収入金額×30%+18万円
660万円以下 収入金額×20%+54万円
1,000万円以下 収入金額×10%+120万円
1,000万円超 収入金額×5%+170万円
(最高245万円)

 

2.特定支出控除とは

 
特定支出控除制度とは,給与所得者が特定支出を行った場合,その支出額を一定の範囲内で所得控除できるとするもので、昭和62年度税制改正で創設されました。

(現行・平成24年分まで)
特定支出の額が給与所得控除を超える場合には、その超える部分が控除されます。

(注)職務遂行上必要な特定支出は支払者の証明書が必要となります。
 

3.特定支出の範囲の見直し

 

特定支出 内容
通勤費 <変更なし>
非課税通勤費は除く
転任に伴う引越し費用 <変更なし>
旅費,宿泊費,荷物の運賃
研修費 <変更なし>
資格取得費用 <見直し>
弁護士,会計士,税理士等の資格取得費用
(専門学校等に通う費用など)
単身赴任者の往復旅費 <変更なし>
単身赴任者の勤務地と自宅の間の往復旅費(1か月に4往復まで)
勤務必要経費 <新設>
職務に関連する図書費,衣服費,交際費等
(上限金額は65万円)

 
改正前は,企業の経理担当者が簿記の資格を取得しようとした場合、会社側がその資格が職務遂行上直接必要であると認めたものであれば、その資格取得費用を特定支出として控除することができました。しかし、税理士などの資格取得費用は、独立費用と考えられ、特定支出の範囲から除かれていました。

しかし、今後は、会計事務所の職員が税理士資格を取得しようとして専門学校等に通った場合、職務遂行上直接必要であれば、その費用を特定支出として控除することが認められます。

「図書」は、紙媒体のものだけでなく,電子書籍等や不定期の刊行物、有料のメールマガジン、ニュースレターなども含まれるようです。

「衣服」とは、政令上、制服、事務服、作業服、その他職場で着用が義務付けられているものを指し、スーツなども含まれる可能性があります。
また、職場で作業着ほか、安全用のヘルメット,安全靴、作業用手袋などの着用が義務付けられている場合には、作業着に限らず、その他の着用物も「衣服」に含まれると思われます。

「交際費」等については,法律上,「交際費,接待費その他の費用で,給与等の支払者の得意先,仕入先その他職務上関係のある者に対する接待,供応,贈答その他これらに類する行為のための支出」と規定されています。

 

4.特定支出控除の判定要件の見直し

 

給与等の収入金額 給与所得控除への加算額
1,500万円以下 特定支出額△給与所得控除額の2分の1
1,500万円超 特定支出額△125万円

 

5.具体例

 
給与収入が600万円の人は、給与所得控除が174万円(600万円×20%+54万円)となります。

174万円×1/2=87万円よりも、特定支出の合計額が高い場合にはその超える金額が給与収入から控除されます。

<参考>改正後の所得税法施行令第167条の3

 

(給与所得者の特定支出の範囲)
第167条の3
1~4 省略
5 法第57条の2 第2項第6号イに規定する政令で定める図書は,次に掲げる図書であつて職務に関連するものとする。
 一 書籍
 二 新聞,雑誌その他の定期刊行物
 三 前二号に掲げるもののほか,不特定多数の者に販売することを目的として発行される図書

6 法第57条の2 第2項第6号イに規定する政令で定める衣服は,次に掲げる衣服であつて勤務場所において着用することが必要とされるものとする。
 一 制服
 二 事務服
 三 作業服
 四 前三号に掲げるもののほか, 法第57条の2 第2項に規定する給与等の支払者により勤務場所において着用することが必要とされる衣服

 


 


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